パナマ文書が公開されたことで騒動になっていましたが、そろそろ少し落ち着きを取り戻してきたので、ちょっと思ったことを語ってみる。
タックスヘイブンとは一体なんなのかのザックリとした概要と、何が問題なのか、そしてこれからどうなるのか? などについて。
予防線を張っておくと、僕は税制のプロではないので間違った主張をしているかもしれないので、その際はご指摘くださいな。
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タックスヘイブン騒動のザックリ概要
タックスヘイブンを利用した租税回避の方法について、すごくザックリと説明すると、このようになります。
「自国の税金が高い」が、「税金がゼロの国がある」ので「実態のないペーパーカンパニーをその国に設置」して「そのペーパーカンパニーに資産を移す」ことで「自国での租税を回避できる」という方法のこと。
なんとなくの概念を理解するにはこの画像が一番わかりやすいので、貼っておきますね。
これらのペーパーカンパニーはどの会社の誰が運営しているかは外からは殆どわからなくなっているので、色んな人がやっていそうだけど追求はできなかった、というのが今までの話です。
そして先日のパナマ文書では「流出」という形で、具体的に誰々がタックスヘイブンを利用した租税回避をやっているということがわかりつつあるというのが現在の状況です。
違法なのかどうか
実際の所、違法なのかどうかと言われると現時点では違法ではないのです。
それぞれの各国が、その国の税法にのっとった上で租税を回避しているので、違法ではないとされてます。 グレーゾーンスレスレのテクニックではあるのだけど。
もともと税制というものはある程度の歪みがあるものなので、それを賢く利用して税金を低く納めることは「節税」として一般的に行われているものです。
以前紹介した「黄金の羽根を拾う方法」でもこうした税制の歪みを利用することは、お金持ちになるためには必要なテクニックだし、使うべきだとされてました。
社会の歪みは実は金持ちになるチャンスかもしれない 2015年における「黄金の羽根」とは? | 怠け者の20代が投資やってみたブログ
これを世界規模の超スケールにしたのが、タックスヘイブンの租税回避方法というところですかね。
倫理的にどうなの? という問題
違法じゃないのならば何が問題なの? というと、やっぱり倫理的な問題でしょうか。
少なくとも、税金を課したり増税を決定する側の政府関係者や政治家がタックスヘイブンを利用して合法的にでも租税を回避しているという事実は、倫理的に許されんだろう、というところだと思う。
「増税する前に取るべきところからちゃんと取れよ」と一般的な国民が思うのは当たり前のことですよね。 こういう記事もありました。
タックスヘイブンでの富裕層・大企業の税逃れ禁止で消費税は廃止できる=ケイマン諸島だけで日本の大企業は60兆9千億円(2013年)とこの12年間で3.2倍増の税逃れ | editor
取るべきところから取れば、消費税増税は必要ないとなれば「増税する前に取るべきところからちゃんと取れよ!(怒)」となるのは至極当然なことです。
これからどうなる?
じゃあこれからどうなるんだろう? というのが気になるところだけど、長期的に見たらこの方法を取ることはできなくなっていくだろうと思います。
元から良い言われ方をしていなかったタックスヘイブンが今回の騒動で目立った結果、各政府としても対応を迫られるのは必至でしょう。
海外では首脳級の人物が租税回避をしていたという情報もリークされているわけなので、既に首相の進退に発展するような事態も起きてます。
【パナマ文書の衝撃】アイスランド首相が辞任、タックスヘイブン巨額投資に国民批判 - 産経ニュース
そういうわけで、長期的に見れば、今後はこの方法が使えなくなっていくんじゃないかなあと思います。
個人的意見
あくまで個人的な意見を述べると、タックスヘイブンを利用すること自体が違法ではないのならば、それらは悪いことではないと思います。
悪いのはそういう方法が取れる仕組みの方であって、仕組みが悪いのならば直せばいい。
仕組みを作るのが政治家や大企業の側なのであれば、国民一人ひとりが知識をもって批判して、選挙で投票すればいいわけで。 民主主義というものはそういうものだし。
でも…なんだか日本ではあまり追求されることなく、報道も議論も大してされないまま、話がしぼみつつありますね。
日本人はお金に関する議論があまり積極的になされないので、マスコミが大々的・継続的に取り上げないとどうしても関心が薄まってしまうんですよねぇ。
結局、搾り取られるのは自分たちになるわけなので、各個人が知識を持ったうえで自発的に議論できるようになればいいのだけど。
もし今後もガラパゴス的にこの方法が利用できる抜け道が維持されるようならば、それはそれで社会の歪みとして付き合っていくしかないのかもしれないなあ…。