たまには、ブラジルレアルやカナダドルというような資源国通貨や新興国通貨についてのお勉強もしてみよう。 その国の背景や通貨の傾向を知っておくと、世界の為替レートやトレンドを理解するのに役立ちますからね。
今日はオセアニアの巨大な資源国、オーストラリアの通貨「オーストラリアドル」について、少しまとめてみます。
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オーストラリアドル
2015年10月現在のオーストラリアドルのレートは84.15円程度です。
ここ数ヶ月は通貨安(円高・オーストラリアドル安)が続いてますが、10年ぐらいのスパンで見てみると、まだまだ平均的な数値ですね。
豪ドル/円(AUD/JPY) :外国為替 | マーケット情報 | 楽天証券
オーストラリアは資源国
オーストラリアは先進国であると同時に資源国でもあります。
鉱物・燃料などの天然資源が輸出品目の70%を占めるというだけあって、オーストラリアの主要産業はイコール資源! と断言してしまって良いのではなかろうか。
主な輸出先
資源国であるが故に、経済を資源の輸出に頼っている側面があるようです。
2014年でのオーストラリアの主な輸出相手国の比率をまとめた資料がありました。 これによると、中国はなんと全体の35%となっています。
次いで日本が16%、韓国が7%と、アジア諸国がメインを占めてますね。
この比率は今後、東南アジアの発展によって変化していくものと思いますが、現時点では中国の比率が一番大きいため、中国経済の良し悪しの影響を受けやすいともいえます。
人口は増加傾向にある
ただ少し面白いのは、オーストラリアの人口は増加傾向にあるということ。 いわゆる先進国は人口がゆるやかに減少傾向にあるのに対して、オーストラリアは今後も人口が増え続ける、と予測されてます。
これもやはり資源国のために生産人口が増えればそれがイコール経済にプラスになること、それと移民政策を推進しているというところから来てると思われる。
仮に中国経済が更に縮小したとしても、その他の東南アジア諸国の成長に応じて資源輸出の比率が変わるだろう、と考えると一時的な停滞はあってもゆるやかに成長は続けるんじゃないかしら。
人口が増える予測のある国は、基本強いです。
金利が高い
オーストラリアドルの特徴のひとつに高い金利があります。 2008年には7.25%と、他の新興国並の金利が設定されてました。
現在は2%と金利も低くなってきているとはいえ、それでも日本と比べるとかなりの差があります。 先進国の中で比べると、相対的に金利が高いということです。
景気との連動
金利が高い国の通貨は往々にして下記のような傾向があります。
景気 | 投資家の リスク許容 | 傾向 | 通貨 |
---|---|---|---|
景気が良い時 | リスクオン (リスクを取って儲けを狙う状態) | よく買われる | 通貨高になる (円安・通貨高) |
景気が悪い時 | リスクオフ (リスクを回避しようと安全資産に移動) | よく売られる | 通貨安になる (円高・通貨安) |
2015年10月の現時点では景気が悪いとまでは言わないものの、悪化する材料が多い(ギリシャ危機、中国経済不振、アメリカ利上げによる資源国への影響)ため、どちらかというとリスクオフ、資源国通貨が売られる流れがあるんじゃないかなと思われますね。
まとめ
- オーストラリアは資源国である
- 資源の最大の輸出先は中国のため、中国経済の影響を受けやすい
- 人口は今後も増加していく
- オーストラリアドルは金利が相対的に高い
- 世界的に景気の良い時期はオーストラリアドルは通貨高になる
- 世界的に景気の悪い時期はオーストラリアドルは通貨安になる
やはり昨今の中国経済の不振も少なからず影響しているようで、中国への比率が高い現時点ではこれから先は低成長が続くのでは? という見方をされてます。
豪統計局によれば、2日に発表された4-6月期の成長率は、予想の0.4%を下回る0.2%で、2013年の第1四半期以来の低成長となった。
豪の輸出の柱は鉄鉱石と石炭であり、APは、最大の貿易パートナーである中国での資源需要の低迷が影響したとしている。為替も中国製造業の弱さを示す指標を受け、2日には2009年以来初めて、1豪ドルが0.7米ドルを下回る安値を付けた(AP)。
(中略)
一方、ガーディアン紙は、資源中心からの移行は、容易ではないと指摘。
また8月の中国株の騒動で明確になったように、中国の状況がさらに悪化した場合、中国の繁栄の上に成長モデルを描いてきた国々への影響は重大だと述べ、今後の豪経済は不景気を回避できても、しばらく低成長が続くと見ている。
中国失速で資源大国オーストラリア打撃 21世紀のゴールドラッシュも夢に | ニュースフィア
上で表にまとめた資源国通貨の傾向の通り、これから世界的に景気が上向きそうだ!というトレンドのときにオーストラリアドル、およびオーストラリア系の投資信託を購入するというのが良い考え方なんじゃないかな。
長期的には再び成長する傾向にある国と思われるので、多少世界経済の影響を受けて下落しても、あんまり悲観的になることもないと思いますよ。