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マイナス金利の影響で、不動産が伸びる、リートが伸びると言われてました。

実際、マイナス金利発表直後はリート指数も伸びたことで、国内リート系の投資信託の基準価額もグッと値上がりしていましたが、その後は下げたり上げたりで、だいたい同じぐらいの価格を維持しているみたいですね。

マイナス金利の影響で国内リートが急激に伸びているらしい | 怠け者の20代が投資やってみたブログ

 

そういえば「不動産投資は高いから、少額からでも可能なリートが良いよ」というフレーズがありました。 実際、そんな論調の記事をいくつか見たことがあります。

確かにリートは不動産投資事業に分散的に投資できるというものなので、間接的に不動産投資していることになりますね。 実際、面白い仕組みだと思います。

…が、一般的に言われている「不動産投資」とは、また全然の別物だと思うのです。

「不動産投資してみたいけど価格が高いのでリートにする!」というのは、そもそも前提が間違っている気がしてます。

 

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リートは紙の資産

そもそもリートの定義ってなんだっけ。

REIT(リート)とは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称で、投資家から資金を集めて不動産を運用して得た賃料収入等を元に投資家に分配する金融商品です。

(中略)

一般的なREITは、投資法人という特別な法人を作ることで不動産への投資・運用等を行います。

投資法人は不動産を運用することだけを目的として創られた器なので、基本的にそれ以外の業務を行うことはできず、役員のみで従業員はいません。

従って、その運営は全て外部に委託することになり、この委託先の中で重要な役割を果たすのが資産運用会社です。 資産運用会社は、不動産の選定や日々の管理、資金調達等、実質的に投資法人が必要とするほとんどの業務を行います。


J-REITとは? - 不動産投資信託|モーニングスター

まあ要するに、投資家がリートを購入することで投資法人の不動産投資の事業に投資することになる、というもの。 これらの事業で出た賃料などを配当金などにして投資家に分配されるのがおおまかな仕組みですね。

そうなると不動産の物件そのものを分割して購入するというよりは、不動産投資の事業そのものに投資するためのファンドという言い方のほうが、正しいのかな。

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重要なのは、リートを購入したとして、所有するものは配当金を得るための権利であるということ。 購入するのは不動産そのものではなく紙の資産(ポートフォリオ資産)であるということです。

リートの投資信託を1,000万円持っていたからといって、不動産物件そのものの権利を得られるわけではない…というのが重要なポイントです。

(もし、リートの所有額に応じて実際の不動産物件そのものの権利をシステムがあったら、それはそれでとても面白そうなんだけど。 ないよね?)

不動産は建物の資産

反面、一般的に不動産投資と言われているものは、投資家自身が不動産を購入して投資家自身が運用していくというもの。 (もちろん間に不動産会社が入ったりしますが。)

つまり、リートと違って所有するものは不動産物件そのものということになりますね。

投資家自身が不動産物件を運用しないといけないので、大変な部分もある反面、手を加えれば付加価値を付けられる(相場よりも優位に立てる可能性がある)というのも不動産投資の特徴のひとつだったりします。

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紙の資産と不動産は別物

この2つの何が違うのかというと、根本的な資産の特徴が違います。 メリット・デメリットの部分が大きく異なってきますね。

紙の資産

  • メリット:  少額から購入可能、売却が簡単
  • デメリット: 市場の景気に左右されて価値が大きく変わる

不動産物件

  • メリット:  市場景気の影響を受けにくい、安定した賃料が見込める
  • デメリット: 高額、売却に手間がかかる

 

こうしてみると、正反対の資産です。

チャレンジのしやすさ&撤退のしやすさだと紙の資産の方が明らかに上だけど、その分安定性に欠けるという部分がある。

安定性に欠けることはある意味ではチャンスでもあるので、即デメリットに結びつくかというとちょっと微妙だけども「今後ずっとなくならない資産」という気持ちで持つには、少々荷が重い気がしてます。

不動産物件は安定しているけども、高額だし手離れが悪いので、購入する物件が悪いと「安定的に」損する場合もある。

不動産が買えないからリートを買う…というのには違和感

ここではどっちが良い悪いかという問題を話したいのではなくて、買える資産の特徴を見ると「リートを買うこと」と「不動産物件を買うこと」は別物だということ。

リートの投資信託は株式の投資信託のように値動きをしていくものです。

再投資を繰り返しての徐々に資産額を増やしていくという目的であれば問題ないのだけど、不動産のように安定的な収入源を得るための購入には、正直向いてないと感じてます。

毎月分配型のリート投資信託なら家賃収入のような感じで受け取れますが、結局のところこれも景気に左右されますからね…。

それぞれの目的

つまり「リートを買うこと」と「不動産を買うこと」は目的が違うよねという話ですね。

  • リートを買う目的:   不動産市場に分散投資したい、再投資で資産を増やしたい
  • 不動産物件を買う目的: 家賃収入で安定的な収入源としたい

「不動産は高い反面、手軽に買えるのがリートだよ」というのは正しいのだけど、それは紙の資産が買いやすいという話であって、不動産物件が買いやすくなっているということではない。

そうなると「不動産投資してみたいけど価格が高いのでリートを買う!」というのは間違いじゃないか? と思った次第です。

 

「不動産市場に分散投資したいのでリートを買う!」という目的が明確なのであれば、リートは全然アリな仕組みだと思います。

実際、僕も結構な額のリート投資信託を持ってますしね。 国内ではなくて、米国リートですが。

それでは〜。