もう少し前の話ですが、いまさらレポートを。

 

2018年3月の末頃にインバースETFを購入して、ひとつの実験をしてました。

インバースETFとは、指数と逆の方向に値動きするETFのことで、例えば日経平均のインバースETFの場合、日経平均が下がればインバースETFは値動きします。

つまりは、日経平均などの暴落時のヘッジ(保険)として使えるETFというわけですね。

暴落相場にどう対応するかを考えてみた ETFでリスクヘッジする方法とは?

 

さて、3月末に米国と中国との間で貿易摩擦の懸念が発生し、たった1日で日経平均が1000円近く下がった時がありました。

その際にインバースETFを買ってみた実験の内容と、その感想についてまとめます。

ダブルインバは本当にリスクヘッジとして使えるか!?

 

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この記事のポイント!

  • 2018年3月末、米中貿易摩擦などの懸念で日経平均が大きく下落
  • 下落に対するヘッジとして、逆の値動きをするダブルインバを購入してみた
  • 結果は日経平均の下落にはつながらず、その後ダブルインバはジワジワと値下がり
  • 10%の損切りラインに達したので、ダブルインバは自動的に売却されました
  • ダブルインバは購入するタイミングが重要!

2018年3月末 米中貿易摩擦のリスク

3月22日、米国のトランプ大統領は主に中国の製品の輸入品、鉄鋼やアルミ製品などへの関税引き上げを決定しました。

これに対する報復措置として中国側も「米国からの輸入品に関税をかけるぞ」と発表。

こうなると、報復措置的な関税に対する報復返しがエスカレートして、貿易に大きなブレーキがかかるのではないか、という懸念がでてきます。

これが最終的には米中での貿易摩擦(貿易戦争とも呼ばれたりする)に発展して、経済に大きな悪影響が出るのでは…!? という懸念がドカンと広がりました。

  • 関税がかかる
  • モノの値段が上がるので買われなくなる
  • 輸出量が減る
  • 貿易が縮小する
  • 経済に悪影響

 

こうした「世界的な経済の懸念」に敏感に反応するのが日本経済であり、日経平均の指数です。

日経平均はたった1日で21,591→20,617へと、1,000円近くも下落しました。

この頃はちょうど森友・加計学園問題で賑わっていた頃で、安倍政権への影響も懸念されていた時期でもあり、さらには核実験を繰り返す北朝鮮のリスクもあります。

  • 米中貿易摩擦のリスク
  • 安倍内閣退陣のリスク
  • 北朝鮮との戦争リスク

いわば「日本経済へのトリプル懸念」といった状況。 このままズルズルと日経平均も2万割れするんじゃなかろうか…。 という危機感を感じてました。

2013年から長いこと好景気が続いていたし、そろそろ調整局面なんじゃなかろうか!? …と。

 

「日経平均がこれから更に下落していく」と思うのであれば、そのまま指をくわえる見ているよりも、逆の値動きをするETFを買って保険にしようぜ!

というのが、今回の「ダブルインバ」と呼ばれるインバースETFの購入の理由です。

ダブルインバETFを購入してリスクヘッジしてみる

そこで、今回購入したのは「日経平均ダブルインバース・インデックス」です。(コード:1357)

 

この米中貿易摩擦の報道を受けた後のダブルインバの値動きはこう。

たった1日で、6%ほどの上昇です。

今回の報道を受けて、22日〜23日の間で最終的には1380→1496まで上昇。 上昇幅は8%ほどになりました。

 

ダブルインバを購入した後に、日経平均が値動きするとこうなります。

  • 日経平均が下がる: ダブルインバが上がって損失をヘッジ
  • 日経平均が上がる: ダブルインバでは損するが資産の目減りは避けられる

 

ダブルインバというポジションを持っていないで日経平均が下落すると、そのまま所有している株式の価値もズルズルと下がっていくだけ。

ダブルインバのポジションを持っている場合は日経平均の下落に反発して値上がりするので、そのダブルインバ上昇で儲けた分で、持っていた株式の下落分が補填できます。

 

逆に思惑が外れて日経平均が上がった場合。

こうなるとダブルインバの価格は下落するので損をしてしまうけれど、もともと所有していた株式は上昇するということになるので、これまた下落分が相殺されます。

  日経平均とは逆の値動きをするので、下がる前に購入しておけばマイナス分を相殺できる

 

ダブルインバ購入時の価格と損切りライン

ということで前置きが長くなったけど、このダブルインバを3月23日に1,494円で150口購入しました。

日経平均が2万を切った場合、ダブルインバが1,758円まで上昇するだろうという見込みです。

この時点で売却すると、4万円の利益が出るだろう…という計算をしています。

購入時の単価1,494
購入株口数150
購入時の総額価格¥224,100
単価1758円で売却した場合の総額¥263,700
上昇による利益(見込み)¥39,600

(ややこしくなるので、ここでは税金や手数料などは除外)

 

ぶっちゃけ4万円程度のプラスでは、正直なところ資産下落のヘッジとなるかどうかは怪しいところ。

しかし、今回は実験なので「思惑通りうまくいくかどうか」が大事なのだ!

この方法で自前で下落に対するヘッジができるということになれば、今後起きるかもしれないヘッジにも対応できるということになります。

それならば今後いつか来るであろう下落局面でも損失を減らしたり、プラスマイナスゼロにもっていくことができる。

損切りライン

逆に思惑通りにことが運ばずに、日経平均が上昇に転じた場合。

こうなるとダブルインバは逆にどんどん下落していくことになるので、ズルズルと保有していても仕方ありません。

もともとインバースETFは長期保有に適した商品ではないので、思惑が外れたな、と思ったらさっさと売ってしまうことにします。

 

ということで、事前に思惑が外れた時のための損切りライン(いくらまで下がったら売るか)を考えておかないといけません。

今回、ぼくはこれを10%に設定しました。

1,346円まで下落したら自動的にで損切り(売却)されるようにしています。

 

この損切りが実行されると、ETF下落分の2万円ほど損をする見込みです。

もちろんこの場合も、懸念されていた危機は回避されて日経平均は数値を持ち直したということになるので、日経平均の上昇分でそれなりに相殺される、はず。

購入時の価格1,494
損切りライン
(購入時からこれだけ下がったら売却)
10%
損切りラインの価格
(この価格になったら自動的に売却)
1,345
損切りラインになった場合の日経平均の価格
(予想)
21,720
損切りした場合の損額
(予想)
¥22,410

その後の経過 (2018年4月)

さてその後、山積していたリスクはどうなったかというと…。

  • 米中貿易摩擦のリスク→ 交渉で貿易戦争に拡大しない可能性アリ
  • 安倍内閣退陣のリスク→ 継続中だが証人喚問などで一段落
  • 北朝鮮との戦争リスク→ 突然「核凍結」へと方向転換

 

3月末時点で懸念していたリスクは、完全解決とまではいかないものの、大きな問題には発展しない見込みに変わってきました。

そうなると、3月末に1,000円下がった日経平均もジワジワと回復する展開に。

 

ぼくが購入したダブルインバは当然、日経平均のジワジワ上昇に反発する形でジワジワと下落。

損切りラインの10%に達して、売却となりました。

☑ 思惑は外れて、日経平均はジワジワ回復した!

「ダブルインバをヘッジに使うこと」の感想

どうやら、ぼくが思っていたほど、悪い方向には転ばなかったようです。

まあ、それはそれで良かったのだけど。

悪い方向に転がった場合の保険、つまり「暴落の保険のヘッジ」としてダブルインバを購入していたので、そのためのヘッジコストがかかったことになります。

今回の場合、10%の損切りラインにしていたので、その10%下落分の22,000円の損額がヘッジコストといったところでしょうか。

購入価格¥224,408
売却価格¥201,592
損益¥-22,816

 

保険のコストとして見ると、けっこう割高な気がします。

もっと損切りラインを浅くして5%、もしくはそれ以下にするなど、目論見が外れた場合にかかるコストを抑えた方が良いかもしれません。

ただあまりにも損切りラインを浅くしすぎると、ちょっとした反発で損切りラインを越えてしまってすぐ売却になってしまう場合もあるので、良し悪しですが。

☑ 損切りラインは少し浅めに設定してもよいかも

ダブルインバはタイミングがシビア

今回の失敗は、米中貿易摩擦の懸念で日経平均が下がった後にダブルインバを購入したことでした。

日経平均が1,000円下落した時点で同時にダブルインバも大きく反発して価格を上げているので、ここで利益を出すためには大きく値動きする前に購入しておく必要があったということです。

といっても実際に事前に情報を掴んでおくことはできないので、報道があった瞬間に判断してすぐにポジションをとっておく必要があります。

実際には今回、値動きした後に「まだ更に下がりそうな気がする」という気持ちで入ったものだから、リスクとなる懸念がその後薄れて日経平均が回復、結果的に損をしたというパターン(笑)

下落した後に保険に入ったという、アテの外れた行動だったとも言えますね…。

 

今回のパターンでは3月22日の報道の時点でダブルインバを即仕込んでおいて、23日には利益を確定する、ぐらいのスピード感でないとダメでした。

そう考えると、なかなかタイミングが難しいなぁ…。

下落チャンスと見たらすぐにインバースETFを買えるような体制をつくっておかないと、活用するのは厳しい気がします。

インバースETFは長期保有にも向かないので、予め入っておく保険としても使いづらいですし。

☑ 気軽に使えるリスクヘッジの手段では、ないかもしれない

まとめ

  • 2018年3月末、米中貿易摩擦などの懸念で日経平均が大きく下落
  • 下落に対するヘッジとして、逆の値動きをするダブルインバを購入してみた
  • 結果は日経平均の下落にはつながらず、その後ダブルインバはジワジワと値下がり
  • 10%の損切りラインに達したので、ダブルインバは自動的に売却されました
  • ダブルインバは購入するタイミングが重要!

 

経済に悪影響を与えそうな今回の3つの懸念が完全に解決したわけではないところが気になるところでもあるけれど、ひとまずは経済の大きな調整局面は、まだ先になりそうです。

またこれらの懸念が再燃した時に、敏感な日経平均がまた反応して下げる可能性は大いにあります。

またその局面で、ダブルインバでヘッジを狙ってみようかなと思います。

ひとまず機会があれば、実験は今後も継続してみるよ、ということで。

出来ることを増やしておくことは、無駄ではないですしね。

とっておきのチャンスをタイミングよく掴むためには、事前のこうした実験はやっぱり必要不可欠だと思ってます。 まあ、今回は失敗でしたが!(笑)

 

以上、ご参考までに。

それでは!