インデックス型ファンドの低コスト化が進んでいます。

以前にもiFreeという新しい低コストファンドシリーズが登場したことについてちょっと触れました。

「iFree 8資産バランス」を見てみる

 

「eMaxis Slim バランス (8資産均等型)」が登場

(おそらく)同じバランス型ファンドで手数料に大きく差を開けられてしまったことに対抗して、eMaxisにも「eMaxis Slim」という低コストシリーズが登場しています。

このSlimシリーズに、新たにバランス(8資産均等型)も新規に設定されることになりました。

『eMaxis Slim バランス(8資産均等型)』募集・設定について

『eMaxis Slim(イーマクシス スリム)』は、他社類似ファンドの運用コストに注意を払い、機動的に信託報酬を引き下げることによって、今も、そしてこれからも業界最低水準を目指し続けるインデックスファンドです。

できるだけ低コストの投信を購入したいというお客さまからの強いご要望にお応えし、販売会社とのコラボにより誕生しました。

 

今までもいくつかeMaxisバランスにも複数の種類が登場していましたが、今回は従来のバランス(8資産均等型)と、ほぼ全く同じのSlim版バランス(8資産均等型)が新たに登場したということもあって、ぼくも少々混乱してます。

従来バランスとSlimバランス、一体どこまで同じで何が異なるのか? 詳しく見比べてみました。 ご参考ください!

 

※当記事では便宜上、eMaxis バランス(8資産均等型)を「従来バランス」、eMaxis Slim バランス(8資産均等型)を「Slimバランス」と呼ぶことにします。

※2017年11月のSlimバランスの信託報酬引き下げに伴い、記事を更新しました!

 

eMaxisバランス8資産についての個別記事はこちらをどうぞ!

「eMaxis バランス(8資産均等型)」を見てみる

 

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この記事のポイント!

  • 投資対象や比率は従来版とまったく同じ!
  • 信託報酬は従来版の半分以下に引き下げ!
  • Slimシリーズは購入できる証券会社が限られている
  • 信託報酬の低コスト化競争はどんどん激化している!

投資対象と比率を比べてみた

では早速、投資対象とその投資比率について見比べてみました。

 従来バランスSlimバランス
国内株式12.5%12.5%
先進国株式12.5%12.5%
新興国株式12.5%12.5%
国内債券12.5%12.5%
先進国債券12.5%12.5%
新興国債券12.5%12.5%
国内リート12.5%12.5%
先進国リート12.5%12.5%

 

このように、投資対象はまったく変わりません。 (そもそも全く同じグラフを使っているようだし…笑)

1%以下の、例えば現金資産など細かい部分では異なることになるかもしれませんが、基本はSlimバランスも従来バランスもまったく同じと考えて良さそうです。

☑ 投資対象と比率はまったく同じ

手数料を比べてみた

続いて手数料について。 ここが大きく異なる部分です。

 従来バランスSlimバランス
購入手数料0%0%
信託報酬
(税込)
0.54%
0.2268%
信託報酬内訳
(運用会社/税抜)
0.2%0.1%
信託報酬内訳
(販売会社/税抜)
0.24%0.1%
信託報酬内訳
(受託会社/税抜)
0.06%0.02%
信託財産留保額0.15%0%

 

もともと従来バランスからノーロード投資信託であるため、購入手数料は両者とも0%です。

ランニングコストである信託報酬が0.54%から0.2268%(税込)へと、半分近くに大きくコストダウンされています。

また、売却時のコストである信託財産留保額も、0.15%から0%へとダウンしています。 微々たるものとはいえ、きっかり0%になると気持ちいい!

 

おまけ:iFreeバランスと手数料を比べてみた

更に先日紹介した、iFree8資産バランスを加えて比較してみると、こんな感じです。

 従来バランスSlimバランスiFree
購入手数料0%0%0%
信託報酬
(税込)
0.54%
0.2268%0.2376%
信託報酬内訳
(運用会社/税抜)
0.2%0.1%0.11%
信託報酬内訳
(販売会社/税抜)
0.24%0.1%0.1%
信託報酬内訳
(受託会社/税抜)
0.06%0.02%0.02%
信託財産留保額0.15%0%0%

こちらの一覧は、2017年11月時点のものです。

両方とも、信託報酬が徐々に引き下げられており、このあたりの競争が実際にあるということがわかります。

☑ iFreeとSlimバランスの信託報酬はほぼ互角

注意点:Slimバランスは購入できるネット証券会社が限定される

従来バランスとSlimバランスを比較しているうえでもうひとつ重要になりそうなのが、ネット証券会社の取扱い数です。

2017年11月時点で、Slimバランスは下記8社のみでの販売となっています。

プレスリリース分に「販売会社とのコラボにより誕生しました。」という文面がある部分から察するに、今後も限られたネット証券会社でのみ、購入可能となるものと思われます。

Slimバランスが購入できるネット証券会社

 

他の証券会社を使ってeMaxisを購入している場合、Slimバランスに乗り換えることが出来ないということになります。

同じ投資対象、同じインデックスに投資するファンドであるにもかかわらず、利用している証券会社によってコストが異なるという、奇怪な状況になってしまっているわけですね…。

 

もしかすると今後は、手数料コスト最安水準の投資信託は、特定のネット証券会社でしか販売されない…ということになってくるのかもしれません。

証券会社を選ぶうえで、こうした低コストファンドの取り扱いがあるかどうか? も重要なポイントと、なってきますね。

まとめ

さて、大きくまとめるとこの両者の位置付けは大きく下記の形になりそうです。

  • eMaxis バランス(8資産均等型):従来通りの手数料で幅広く販売される通常版
  • eMaxis Slim バランス(8資産均等型):一部ネット証券だけで販売される低コスト版

 

これからeMaxisバランスを購入するという人は、購入可能であれば迷わずSlimバランスを選べば良いでしょう。

両方選べる環境、つまり上記の4社で口座を開設している人が、あえて従来バランスを選ぶ理由は特になさそうです。

☑ 購入可能ならSlimバランスを選べばOK

従来バランスで積立していた人はどうすれば?

問題は、今まで従来バランスで積立・保有をしていた人です。 もちろんぼくも含めての話…。

なぜ問題かというと、従来バランスのファンドのまま保有していた場合、コストは従来どおりかかることになるからです。

新規で積立する場合はSlimバランスに切り替えるということで基本は問題ありませんが、今まで保有していた従来バランスの資産はどうするべきなのか、という問題も浮上してきます。

選択肢としては「従来バランスで積み立てた資産をそのまま保有しておく」か、それとも「売却してSlimバランスに一挙に乗り換える」の2つが考えられますが…悩ましいところでありますね。

このあたりの問題を、少し考えてみました。

 

怠け者的には、面倒くさいので従来バランスがコストを下げてくれるのが一番簡単で良かったんですけどねー。

従来版のファンドには、一度設定した手数料は簡単に下げることは出来ないという裏事情が、どうもあるようです。

今回のSlim版の登場は、ある意味では苦肉の策といえるものなのかもしれません。

この従来版とSlim版に何故分かれてしまったのか? については、下記の記事で詳しく解説されていましたので、ご紹介しておきますね。

「eMAXIS Slim」登場の歴史的意味―インデックスファンドの低コスト競争は新たな局面に入った - The Arts and Investment Studies

 

ご参考までに! それでは!