高い成長を誇るカンボジアにも、やはりカントリーリスクはあります。
今回は、表面上この国を見ているだけではわからない、この国特有のカントリーリスクについてまとめます。
ということで、こんにちは!
2019年3月で3度目のカンボジア滞在となる20代怠け者(@20sInvest)です。
たかだか3度目ではありますが、現地カンボジア人とビジネスをしたり、カンボジアの投資用不動産物件の視察や紹介の電子書籍を書くなど、カンボジアという国ついてはそれなりの理解をしているつもりです。
2018年には、現地銀行にUSドルの預金口座も開設しました。
今回は3週間ほど滞在し、カンボジアの主要都市、シェムリアップ、シアヌークビル、プノンペンを回ってきました。
その中でぼくが感じた、あまり世間一般に出てこないカンボジアのカントリーリスクについて、今回はまとめていきますね。
ご参考までに、それではどうぞ。
…が、それとは別に実在するカントリーリスクは把握しておかなければなりません。
今回は、その目的で書きました。
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【リスク①】政治レベルで中国経済にベッタリ
カンボジアは、中国経済への依存度の高い国です。
カンボジア政府と中国政府は政治的にも結びつきが強く、中国資本からの投資を多く受け付けています。
かつてはカンボジアへの援助となると日本の影響力が強かった…と言われますが、2019年現在、カンボジアでの日本の影響力は確実に薄れてきていると感じました。
それほどまでに、中国資本からの投資、投資、投資だらけです。
カンボジアの中国経済への依存度をまざまざと見せつけられた例をご紹介しましょう。
今回始めて訪れた、タイ湾に面したカンボジアの港湾都市シアヌークビル。
カンボジアの貿易の拠点ですが、静かな海沿いのリゾート地として旅行者の間では有名でした。
2019年現在、この街は中国資本によって完全に塗り替えられています。
かつてビーチのあった海岸沿いの中心街は、現在ほぼすべてこんな町並みです。
シアヌークビルの中心街は、中国資本による建設ラッシュでいたるところが工事中です。
それらのほとんどは中国人用のホテルとカジノ。
現在、中国はこのシアヌークビルを「第2のマカオ」にしようということで、盛んに投資を受け付けています。
そのために中心街は土地が買い占められ、軒並みホテルとカジノを建設する中国人の街へと変貌しています。
もともとシアヌークビルに住んでいた現地のカンボジア人は土地価格や賃貸価格の高騰に当然ついていけず、移転と退去を余儀なくされているのが現状ですね。
中国資本は沢山の建物を建てていきますが、それらはすべて中国人のためのもの。
建設の仕事ですら、中国人労働者が持っていってしまうので仕事が増えるということもなく、彼らにとってはもともと住んでいた土地から追い出されるだけ…。
シアヌークビルでは急激な開発によるゴミ問題も問題化していて、それも不満要素の1つのようでした。
まあ好景気で、投資も活発ならなら国全体としてはいいことなのでしょう。 カンボジア自体はまだまだ、他国資本からの投資が必要です。
だとしても、中国資本への依存度が高すぎますね。
過剰な債務(ローン)を抱えたまま解消出来ていない中国は、常にバブル崩壊という爆弾を抱えたままの状態であると言えます。
中国資本と投資家は現在進行系でローンを組み、大量に不動産をカンボジアに建て続けていますが…いざという時、これらの大量の不動産はどうなるのでしょう?
こちらは2018年に撮影した、プノンペンの一角に大量に建造中の中国資本によるコンドミニアム街。 当然ながら、現地人向けの物件ではありません。
【リスク②】34年目の独裁政権
中国経済への依存度が高いのと、このリスク②は密接な関係にあります。
現在、カンボジアの政権を握っているのはカンボジア人民党のフン・セン政権です。
現在のカンボジアの政権が話題に上がることはほとんどありませんが、実はこのフン・セン政権、政権を握って34年目の独裁政権なのです。
2017年には、カンボジアが独裁政権の国家であるという象徴的な事件がありました。
カンボジアの最大野党である「カンボジア救国党」の党首を「国家転覆計画に関与した」という容疑で反逆罪で逮捕し、カンボジア救国党は解党された、という出来事です。
この解党後にカンボジアでは選挙があり、フン・セン率いるカンボジア人民党が125議席すべてを確保した、という事態になっています。
最大野党の躍進を恐れて、現政権が弾圧したという見方が強く、国外からも公正な選挙ではないとの批判が多くありました。
これを批判的に報じた新聞紙も廃刊に追いやられています。
日本では選挙が自由に行えるのが当たり前すぎて感覚が麻痺してしまいがちですが、カンボジアでは政治活動、投票は自由ではありません。
かつて、ポル・ポト政権による独裁で悲劇が起こり、その国でまた34年にもわたって独裁政権が続いているというのは皮肉なものですよね。
ひとまず経済成長という点では問題なく進んでいるので今のところは問題がないのですが、ひとたび経済成長が停滞したら、国民の反感を買うのは必至です。
「反感を買うのは必至」といえど、カンボジアでは政権に対抗する政治活動が実質的に禁じられている国なので、混乱が予想されます。
そしてフン・セン政権は政治・経済的に中国べったりな方針を貫いているため、中国経済が減速した場合の影響も大きく、そして離れられない状態が今後も続く…ということですね。
一党独裁の国家で国民の不満が高まった時にどうなるか…。 一党独裁政権である以上、ずっと抱え続けるカントリーリスクです。
- かつては改革を推し進めた人気の政権であっても、長期間政権を維持するにつれて必ず腐敗する
- 改革派をクビにしたり、反対勢力を弾圧し始めたら要注意
- 任期を自分で延長する支配者は間違いなく腐敗そのもの
- 堕落した独裁者が常に居座る国は、長期的な停滞が必ず来る
この本ではロシアやトルコを例に上の法則が語られてましたが、これをカンボジアに当てはめると…少々、黄信号かもしれません。
【リスク③】慢性的な電力不足による経済への影響
もう1つ、カンボジアの経済成長を阻害する1つの問題があります。
それは慢性的な電力不足。
実はカンボジアでの発電は水力発電が発電量の6割を占めています。
となると、水の流れが少なくなる乾季(3月〜6月頃)は水力発電が弱まり、慢性的な初電力不足になりがち…という構図になっています。
とはいえ経済発展は続けていますので、電力需要も当然どんどん伸び続ける。
それに発電力の増量が追いつかず、乾季には停電が発生しがちな状況となっているようです。
で、この停電というのはやはり都市部を中心に起こります。
経済の中心である首都プノンペンでも発生し、ほぼ毎日のペースで輪番停電を行っているというのが現状。
停電になるとそもそも仕事になりませんから、ホテルやビジネスビルなどでは自前の発電機を確保し、停電時にその発電機を使って対応しています。
そんなわけで、カンボジアでは発電機の価格が2倍以上に高騰しているようです。
暗い時間帯に停電すると…マジで何も出来ません。(笑)
停電時もSIMカードのインターネットは動いてましたが、これは通信施設が発電機で動いているという話でしょう。
シェムリアップ、再び停電。
こうも暗いと何もできんねw pic.twitter.com/a6FplSpUrP
— 20代怠け者@🗾 (@20sInvest) 2019年3月22日
また日中でしたが、プノンペン滞在中にも停電があったようで、店舗の電気や信号がすべてストップしてもいました。
シアヌークビルも同様に、停電している時期がチラホラあったようです。
一都市の問題ではなく、国全体の問題となっていますね。
まあそんな状況が長く続けば、当然それはカンボジアでの経済活動の停滞や投資に対しての懸念点になります。
停電問題が長引けば長引くだけ、経済成長への足かせになるのは間違いないですね。
これもカントリーリスクとして、考慮しておく必要があります。
まとめ
- 【リスク①】政治レベルで中国経済にベッタリ
- 【リスク②】34年目の独裁政権
- 【リスク③】慢性的な電力不足による経済への影響
以上、カンボジアの隠れた3つのカントリーリスクでした。
基本的にどんな国であっても、永遠の経済成長はありえないので、これは現在経済成長を続ける中国(数字上)でもカンボジアでも同じです。
いずれ、揺り戻しが必ず来ます。
特に中国経済は規模が大きいので、中国経済に依存している場合、その好景気・不景気の影響を大きく受けるということは、常に頭に入れておく必要がありますね。
以上、ご参考までに!
それでは!